社員を評価する制度のことを、人事評価といいます。人事評価では単に評価を付けるのではなく、社員の育成を考えて組織全体を活性化させることが目的です。
成果主義は、業務の貢献度や結果に応じて、社員の待遇を決定する仕組みをいいます。勤続年数よりも貢献度で評価される仕組みとなっており、欧米では積極的に導入されていますが日本でも成果主義制度を見直す動きが出てきています。
成果主義制度のメリットの一つが、仕事の成果が反映されやすい点です。課題を達成し会社に貢献するほど高く評価されるため、歩合給や賞与に分かりやすく反映されます。成果を達成できる社員にとってはメリットがある制度といえるでしょう。優秀な社員であるほど成果が反映されやすく、やる気にもつながっていきます。
成果主義制度が導入された場合、社員のモチベーションアップ、やる気につながるというメリットがあります。成果が評価に直結するため、社員は努力しやすくなるのです。仕事の方向性や目的があるほうがやる気が出る社員ほど、努力しやすくなるでしょう。
年功序列の評価では、その人の能力や成果に見合った給与・賞与がもらえるわけではありません。その点、成果主義制度なら年齢や勤続年数に左右されることなく、収入アップも見込めます。
成果にコミットした働き方が浸透すれば、業務の効率化と生産性の向上を図ることができます。
成果が評価に直結すると、「成果につながる仕事をしよう」という共通認識が社内に生まれます。すると、無駄な残業や効率の悪い作業をする社員が減り、人件費や業務の無駄といった削減につながります。
職種の中には、評価を数値化するのが難しい部署もあります。営業のように評価基準を数値で表しやすい職種であれば、数値化するのは簡単です。しかし、経理や人事など、数値で測るのが難しい部署もあります。
また、成果が出るまでに長期間かかる開発の仕事など、途中では成果が認めにくい職種や業種も存在しています。
成果主義制度を導入すると、社員の定着率の低下につながる可能性があります。成果主義では有能は人は高く評価される一方で、成果をなかなか上げられない人材は、思うように評価されません。
評価につながらないと職場に居辛くなり、離職してしまう可能性もあります。
成果主義になると、社員同士の間に競争心が芽生えます。そのため、個人主義になりやすく、チームワークが育ちにくいのがデメリットです。場合によっては足を引っ張り合ってしまったり、評価につながらない仕事は軽視されてしまう可能性もあります。
上司が部下に成果を取られることを恐れて、技術が継承されないという懸念も。チームワークが育たず若手の育成がされないと、結果的に会社全体の業績が伸びないという事態にもなりかねません。
成果主義制度を効果的に運用するには、評価基準を明確にすることが大切です。「偏った評価にならないこと」「社員が納得できる基準であること」の2点を重視して、評価基準を決めましょう。
また、部署によって成果主義での評価のしやすさが異なるため、部署や役職ごとに評価の仕組みを変える必要があります。できる限り評価の細分化を図り、公平に評価できる態勢を整えておきましょう。
明確化された評価基準は、全体に共有しておくのもポイントです。
成果主義であることのメリットの一つが、給与や賞与に反映されやすい点です。その特性を生かすためにも、成果主義制度の導入と合わせて、賃金制度も整備しておきましょう。賃金は成果に応じた制度を整備することが重要です。
成果が賃金に直結していることは、従業員にモチベーションを大きく左右します。しかし、成果を上げられなかった従業員が、生活に困窮するような事態になっては問題です。
賃金制度を整備することは良くも悪くも従業員の生活に影響を与えますので、慎重に評価と報酬を連動させてください。
評価基準が明確にできたら、正しく評価できる評価者を育成する必要があります。評価者が成果主義の原則を理解していなければ、正しい評価はできません。同じ成果を上げても評価にばらつきがあっては、従業員のモチベーションを下げてしまう可能性があります。
「正しく評価してもらえた」と感じられるように、従業員を評価する評価者には適切な研修を実施し、マネジメント能力を強化させましょう。
成果主義制度を導入するにあたっては、正しく機能させるためにも慎重に整備を進める必要があります。成果主義制度のメリットを活かせるように、運用のポイントを押さえておきましょう。
成果主義制度については、人事評価制度コンサル会社に相談するのもおすすめです。制度を整えるためにも、実績とノウハウのあるコンサルに依頼してみましょう。
企業の成長段階に合わせた人事評価制度の導入は、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。人事評価制度を導入したい目的から選ぶのがポイント。おすすめのコンサルティング会社を3社ご紹介します。